200年企業へ —笠盛人の日第40回 学び上手、教え上手第2回、の1

こんにちは、OEM事業部長の高橋裕二です。

前回の笠盛人の日で私たちは、「学び上手、教え上手になる」をテーマに勉強しました。全員に「学び上手とは?」「教え上手とは?」を考えてもらい、班ごとにまとめてもらいました。だから、みんなの脳裏には、「学び上手、教え上手」のイメージがまだ生きていると思います。
それでこの勉強は一段落をしても良かったのかもしれません。しかし、考えてみれば、みんなが「学び上手、教え上手」というのは、笠盛を200年企業にするための基礎ともいえます。みんなが学び上手、教え上手を実践できるようになれば、笠盛は今以上の成長企業になることができます。
そこで、前回の学びを基礎としつつ、もうひと押ししようと考えました。それが今回のテーマを「学び上手、教え上手第2回」にした理由です。

今回座学はほとんどなく、みんなに徹底的に考えてもらう勉強会にしました。最初は企業内研修の企画運営などを運営する株式会社ラーンウェルの関根雅泰代表取締役にインタビューした「『教え上手』と『学び上手』の社員が組織をどんどん変えていく」という記事を全員に読んでもらったうえで、それぞれ自分の文章でまとめる、という課題を出しました。読んでもらう時間は10分、まとめてもらう時間は7分です。

この作業をお分かりいただくには、全員に読んでもらった文章をそのままお示しするしかありまあせん。私が短い文章にまとめてしまっては私の主観が入るため、勉強会の内容を正確にお伝えすることが出来なくなるからです。やや長い文章ですので、2回に分けてご紹介します。お付き合いください。

☆「教え上手」と「学び上手」の社員が組織をどんどん変えていく

2022年4月の新卒社員の入社から3カ月以上が経った。配属先も決まり、すでに組織の一員として活躍している新人も多いだろう。そうしたなか、「部下をどう教育したらいいのか分からない」「テレワークではなく、出社して、背中を見て覚えてほしい」といった管理職や「先輩社員や上司とのコミュニケーションの取り方がうまくできない」という新入社員の声を聞く。仕事は“教え方と学び方”が何よりも大切――企業・団体への数多くの研修を通じて、そのことを伝え続けている関根雅泰さん(株式会社ラーンウェル 代表取締役)に話を聞いた。(フリーライター 狩野南、ダイヤモンド社 人材開発編集部)

■「相手は自分とは違う人」という認識を持つこと

「教える」「学ぶ」――これは、さまざまな企業のあらゆる職場で行われていることだ。しかし、管理職や人事担当者であっても、きちんとした「教え方」や「学び方」を学習した経験はほとんどないのではないか。「学び上手・教え上手を増やす」ことを目指し、企業や地域での人材育成事業に取り組んでいる関根さんは、日々、多くのビジネスパーソンに「教え方」「学び方」の研修を行っている。

 関根 管理職をはじめとした先輩社員の方には「教え方」を、新入社員の方には「学び方」をお伝えしています。「教え方」には2種類あり、ひとつは管理職の方々を対象にした、部下や後輩に対する現場での一対一、一対複数への教え方。もうひとつは、人事や教育担当者の方々に向けた一対多で教える社内講師育成のための研修です。
 私は、2006年に「教え上手になる! 教えと学びのワークブック」という書籍を出版したことをきっかけに「教え方を教える」ことを専門とするようになったのですが、「教え上手」というものに気づいたのは、実は研修参加の方々との対話からでした。
「教えるのが上手な人ってどんな人だと思いますか? 下手な人はどんな人ですか?」という問いを重ねていったところ、多くの人がイメージする「教え上手な人」像が、ほぼ一致していたのです。それは、どういう人か……一言で言えば、「相手本位な人」です。逆に、教え下手な人というのは、「自分本位な人」。自分がこの方法でできたから、相手に対しても「あなたもできるでしょう?」と、同じ目線で押し付けてしまい、相手に配慮することができないのです。教えるときには、「相手は自分とは違う人」という認識がまず大切です。
「教え上手」になるためには、「相手本位」を目指すことがファーストステップだと関根さんは言う。しかし、頭では分かっていても、その実践はなかなか難しい。教える側の管理職やビジネスパーソンは自分の仕事もあり、他の部下のケアもしなくてはならないなか、具体的にはどのようにしたらよいのだろう。

 関根 「自分一人だけで教えない」ということが大切です。自分一人で教えようとするのではなく、周りをうまく巻き込むのです。
 私の師匠である立教大学の中原淳教授は、人材育成には「経験」と「人々」の2つの軸があるとおっしゃっています。つまり、教える対象に「どんな経験を積ませるか」「どんな人と関わりを持たせるか」です。「相手本位に立つ」ことを優先して新入社員を育成するためには、その新人が関われる人を増やしてあげるべきです。
 職場でありがちなのが、OJT担当(OJTトレーナー)や上司が忙しくて、新人が何も教わらずに放っておかれてしまうケースです。何をしていいか分からないままだと、仕事の経験は積めず、そのような場合に“周囲の力”が教える側の助けになります。自分が「新人にやってほしい仕事」プラス、他の社員からも「新人にやってほしい仕事」を挙げてもらうのです。たとえば、机の上の片付けや資料の整理など、誰かがやってくれたらうれしい仕事ってありますよね。雑用に近いものが多く、それらはOCB(Organizational Citizenship Behavior=組織市民行動)と呼ばれます。いろいろな人からヒアリングして作ったOCBリストがあれば、新人も空き時間を無駄にしないようになり、いろいろな人と関わりながら仕事の経験を積んでいくことができます。

 ■教える側は“学び続ける姿勢”も忘れてはいけない

「自分一人ですべてを教えなくてはならない」と思い込んでいた先輩社員にとっては、「周囲の社員を巻き込む」という方法は、目からウロコではないだろうか。その実践には、組織内の社員との協業意識が大切で、巻き込むためのテクニックも必要だ。

 関根 どの年代や階層の人がOJTトレーナーといった教える側になるかによって“巻き込み方”も変わってきます。たとえば、40代の人が教える側の場合、新人と年齢の近い20代の後輩に「新人の話を聞いてあげてほしい」と働きかけることができます。新人側からしても、自分と年齢の近い先輩からのコンタクトは安心です。逆に、教える側が20代の若手だと先輩社員を巻き込むことに対して遠慮がちになりますが、そこは管理職の支援がポイントになります。教える側の上司である管理職が30代40代の社員に「新人の教育を手助けしてあげてください」と告げれば、周囲を巻き込んでの教育が可能になります。また、人事担当者から管理職に「OJTトレーナーが一人で抱え込むことが無いよう、職場全体での関わりを作ってほしい」などと依頼すれば、よりスムーズに周囲を巻き込むことができるでしょう。
 ただ、教えられる側の新人からすれば、複数の人にいろいろなことを命じられると、どの指示を優先すべきか、どの仕事の手順が正しいのかが分からなくなる場合があります。教える側のメイン担当者がいるうえで、「巻き込む人はあくまでもサブ」という位置づけを明確にすることです。

  できるだけたくさんの経験をさせ、さまざまな人たちとの関わりを持たせること――それが新入社員の成長を促し、ひいては、教える側の「相手本位」の姿勢にもつながるのだろう。さらにもうひとつ、教える側にとって大切なことは、「教える人自身が学び続けること」だと関根さんは語る。

 関根 私たちは、「教え上手は学び上手」という表現を使っているのですが、教えるのがうまい人を見ていると、自分でどんどん学び続けています。
 学び方にはいろいろありますが、たとえば、自分の師匠と仰ぐ人から話を聞くとか、本を読む、勉強会に参加するなどです。OJTトレーナーが他のOJTトレーナーと一緒に社内で勉強会をする例もあります。その様子を新人が見学すると、「先輩社員ですら学んでいるのだから自分もたくさん学ぼう」「いまは全部が分からなくても、だんだん学んでいけばいいんだな」という気づきが生まれます。学ぶことで教える側の知見や知識が増えるのはもちろんですが、自らが学んでいる姿勢を見せることも、新人にとって大きな価値があるのです。

 ■“教えること”は、その人自身にとって貴重な機会

 管理職や先輩社員を見て新人が育っていくことを考えると、教える側となるOJTトレーナーの果たす役割はとても大きい。管理職がどのような人物をOJTトレーナーに選出するか――その選択は、かなり重要だ。

 関根 新人教育がうまくいっていない企業を見ていると、「教える側の適任者がいないから」「新人と年齢が近いから指名した」など、OJTトレーナーの選び方が曖昧なケースが多いです。逆にうまくいっているところは、「教える側としてはまだ若いけど、今後はチームリーダーになってほしいから選んだ」「後輩を指導する経験をしっかり積ませたいから選んだ」といったように、管理職が組織の先を見据えたうえで、OJTトレーナーの任命理由をはっきりさせています。
 選ばれたOJTトレーナーはプレッシャーを感じてしまう場合もあるのですが、私たちは「皆さんは『いざなう人』なんですよ」とOJTトレーナーの研修でお伝えするようにしています。経験や人脈をまだ作ることのできない新人を「いざなって」あげれば、あとは新人本人が自在に学んでいきますから、プレッシャーに感じる必要はないのです。
 先ほど、「教え上手は学び上手」と言いましたが、教えることがうまい人は、教わる側の新人からも学んでいることがあります。そういう意味でも、「OJTトレーナーは絶対的な存在ではない」と思っていただくとよいでしょう。

 教える側と学ぶ側は主従関係にあるのではなく、「パートナー」のような間柄と言えるのかもしれない。教える側は、「いま、確実に教えなくてはいけない!」と肩肘を張らずに、学ぶ側を長い目で見守る意識も大切なようだ。

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笠原 康利
1948年3月18日生まれ 好き:仕事、ワイン、落語、漫才、みんなの笑顔、家族、妻(多分) 嫌い:仕事、ホルモンのシロ=噛みきれないので、妻(多分) 得意:笑顔、プログラミング、早食い、経営(多分)、妻(多分) 苦手:指相撲、妻(多分) 似ている芸能人:藤山寬美、キムタク(多分)