笠盛人の日 第4回—言葉の達人、の3

1回目が終わった段階で、私から少し話をしました。タレントのさんまさんと、Appleのスティーブ・ジョブズさんの写真を並べ、

「あなたの思う言葉の達人はどっち?」

と全員に聞いたのです。笑いの達人ともいえるさんまさんのことは皆さんもご存知でしょう。Appleの創業者であるジョブズさんはヘッドマイク、というのでしょうか、口元に伸びるマイクを使い、両手をフリーにして舞台の上を自由に動き回りながら話すことでプレゼンテーションのやり方を一変させた人です。

さて、どちらの支持が多いだろう? と手を挙げてもらったところ、圧倒的にジョブズさんを選んだ人が多かったのは、みんな自分たちに求められているのが「笑いの言葉」ではなく、「仕事についての言葉」だとわかっているからだと思います。

そこで、私は事前に用意したパワーポイントで

「言葉の達人とは、思いやりの心で、人の心まで動かすことができる人」

という私なりの定義を紹介し、広辞苑を参照しながら、

「言葉とは、思っていることを伝えるためにある」

「達人とは、ある分野に関して高みを目指し極限まで技を洗練させた人」

と説しました。

さて、次に進まねばなりません。スピーチは2回ずつやってもらわねばなりません。

「これから2回目のスピーチを始めます。テーマは、1回目とは逆。1回目でうどんを選んだ人は今度はソースカツ丼で、ソースカツ丼だった人はうどんで話して下さい」

どこかから

「えっ、もう1回やるの?」

という声が聞こえました。でも、やるのです。3分間スピーチが今回のワークショップのテーマなのですから。

前回の、PDCAサイクルのワークショップでは、1回目より2回目の方がはるかにいい結果が出ました。しかし、今回は……。みんながスピーチをしている間、私は会場を歩き回りましたが、2回目も1回目と同じような結果になってしまったと言わざるを得ません。

これは私の独断ですが、「笠盛人の日」第4回は完全な失敗に終わりました。みんなの力が足りずに失敗したのではありません。企画・運営担当の私の失敗です。

突然、桐生名物のうどんとソースカツ丼について話せ、といわれて、満足なスピーチができる人がどれほどいるでしょう? うどん屋さん、ソースカツ丼屋さんならそれなりに話すこと、話したいことがあるかも知れませんが、「笠盛」の社員はそのどちらでもありません。桐生名物の食べ物に関しては、単なる客です。食べ物について雑談はできるでしょうが、3分間でまとまったスピーチをしろといわれても戸惑うのが当たり前です。

だから、失敗は企画・運営にあたった私にあります。

ただ、

「ああ、失敗だった」

で終わらせては何の意味もありません。失敗は成功のもと。転んでもただでは起きない、ぐらいの心意気がなければ明日の「笠盛」は築けません。

今回の失敗の原因は何か。「笠盛人の日」が終わったあと、じっくり考えました。

まず、企画の決め方が良くなかったと思いました。これまで各回のテーマは幹部会で決めていました。複数人で意見を出し合うのですから、なかなか決まりません。 そのため、今回はテーマの決定が開催前日まで縺れ、テーマを吟味する時間がなくなって見切り発車、ということになってしまいました。多くの人の意見を聞いて、という民主主義的な手続きは、勉強会のテーマを決めるには相応しくないのではないか?

という結論に達し、次回からは担当者を2人決め、この2人でテーマの設定、中身の調整を進めることにしました。

それに、3分間スピーチのテーマにも問題がありました。うどん、ソースカツ丼について話せ、ではあまりにも漠然としています。例えば桐生に遊びに来た友人に桐生名物のうどん(またはソースカツ丼)を勧める、うどん屋になって客にうどん自慢をする、など状況を設定した方が良かったのではないか、と反省した次第です。

繰り返しですが、失敗は成功のもと。失敗を恐れていては次の高みに登ることはできません。この失敗を、これからの「笠盛人の日」に活かしていこうと思います。

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笠原 康利
1948年3月18日生まれ 好き:仕事、ワイン、落語、漫才、みんなの笑顔、家族、妻(多分) 嫌い:仕事、ホルモンのシロ=噛みきれないので、妻(多分) 得意:笑顔、プログラミング、早食い、経営(多分)、妻(多分) 苦手:指相撲、妻(多分) 似ている芸能人:藤山寬美、キムタク(多分)