1回目、一番高いタワーは約1メートルありました。 A4の紙を横長に置き、それを三角や四角の柱にしたものが基本構造です。これをそのまま20段積み上げれば4m20㎝になりますが、それでは安定しません。そこで各班は下の方には数多く、上に行くにしたがって少なくするという手法をとっていました。
また、この紙の柱をそのまま重ねたのではやはり不安定です。そこでそれぞれの段の間に折っていない紙を1枚置き、その上に次の段を立てる、という工夫がされていました。
A4の紙の短辺は21㎝ですから、5段積み上げられたタワーでした。
2回目のタワーは、最高180㎝にまで伸びました。1回目は慎重に「安定」を狙ったのでしょう。紙を横に使ったのですが、やってみた結果、
「縦に使っても出来るのではないか?」
という知恵を出した人がいたようです。縦なら29.7㎝です。5段積むことができれば150㎝になります。そして、実際にやってみて縦に使っても大丈夫だ、と判断したようです。

1つの班にもっと知恵者がいました。紙を縦に使えば1本ずつは細い柱になります。柱が細いのですから各段の間にはさむ紙はより小さいもので済むはずだ、と考えついたのでしょう。ハサミやナイフの使用は認めていませんでしたが、紙を半分に折って手で2つに切断して使ったのです。これで柱の数が増え、6段まで伸ばせたのでした。
5分が過ぎると、この6段のタワーに向けて全員から拍手が湧きました。
「気が付かなかったなあ」
といったのは、2番目に高いタワーを作ったグループの一人です。この班も紙を縦に使ったのは同じでしたが、間にはさむ紙をA4のまま使っていました。そのため5段目までで20枚の紙が尽きてしまい、30㎝の差をつけられたわけです。
間にはさむ紙を半紙にするというひらめきが勝利を決めました。
もうお気付きでしょうが、このゲームはPDCAの実践です。1回目は計画し(Plan)、実行する(Do)までですが、2回目は1回目の成功、失敗を分析し(Check)、その分析に従って1回目よりタワーを高くする(Action)に挑んだのです。それに、ほかの班の成果を目で見ながら自分たちの成果をCheckしてActionに活かしたのですから、「学ぶ」、あるは「真似る」という、仕事を成功させるのに大切なことも含まれています。自分、あるいは自分たちでは気がつかなかったことも、ほかを見て学び、学んだことにさらに工夫を加えて完成度を高めるという実践を自然にやっていたのです。
それよりも何よりも、このゲームをしている間のみんなの楽しそうな顔が忘れられません。学ぶことは大切ですが、折角大切なことを学ぶのなら、ともすれば眠りに引き込まれそうになりながら学ぶのではなく、楽しみながら、競い合いながら学んだ方が深く身につくのではないか? 何より、次の勉強会が待ち遠しくなるのではないか?
これは、企画・運営した私の自画自賛かも知れませんが……。
もちろん、1回だけの勉強会でみんながPDCAサイクルを自家薬籠中のものにできた、などと夢みたいなことを考えているわけではありません。同じような取り組みを何度も繰り返すうちに、少しずつ浸透していくのだと思います。今回は入口に過ぎません。
ただ、体と頭をフルに使い、みんなで力を合わせて積み上げたタワーはきっと記憶にこびりついているでしょう。仕事をしながら、ふとタワーを思い出し、
「そうだ。PDCAで考えなくちゃ」
と仕事の改善に取り組んでくれる人がいてくれるのではないか、程度には期待していますが……。
ワークショップを終えて全員に紙を配り、この日学んだことをそれぞれ描いてもらいました。また、自分の仕事でPDCAサイクルをどう使うかを記入する用紙も配り、記入済みの紙を事務所に張り出しました。毎朝の朝礼の際、くじ引で2人ずつのペアを作り、PDCAの実践を報告し合います。そして報告を受けた人が
「実践ができている」
と判断すれば、壁の報告者の紙のその日の欄に記入します。これを1ヶ月続けてとりあえず一区切りとしました。

1948年3月18日生まれ
好き:仕事、ワイン、落語、漫才、みんなの笑顔、家族、妻(多分)
嫌い:仕事、ホルモンのシロ=噛みきれないので、妻(多分)
得意:笑顔、プログラミング、早食い、経営(多分)、妻(多分)
苦手:指相撲、妻(多分)
似ている芸能人:藤山寬美、キムタク(多分)
















