刺繍は糸の重なりだけで出来上がっています。この糸はどこからどこに通すのか。何本の糸を、どう重ねるのか。重ねた部分が崩れないようにするにはどこに糸を通して抑えればいいか。コンピューター制御のミシンで刺繍を造る設計図を描くには綿密な計算が要ります。
ごく普通に見える刺繍でも、それができるまでには綿密な計算が積み重なっています。
私たちが得意としてきた、台紙をあとで溶かしてしまうケミカル刺繍では糸を止める生地がありませんから、最初から最後まで上糸+下糸の1組の糸を、ある時は重ね、ある時は束ね、ある時は刺し通す、といった具合に計算を重ねます。設計段階の計算量は普通の刺繍の数10倍、数100倍に達します。そして、デザインが違うものは、すべてゼロからこの計算を新しくやらねばなりません。
ましてや、これから造ろうというのは、これまで誰も創り出さなかった3次元の「珠」なのです。難しさは、平べったい2次元のケミカル刺繍と比べれば月とスッポンの違いがあります。針の位置がコンマ数 mmずれても、形がいびつになったりひしゃげたり、挙げ句は同じところに何度も針を刺してしまって糸が切れたりして「珠」になってはくれません。
建築に例えれば、2次元のケミカル刺繍を普通の住宅の設計とすれば、3次元の「珠」は50階建ての超高層ビルを設計するのに似た数学的な計算が必要になります。
住宅を専門にする建築設計士が、50階建ての高層ビルを設計することはあり得ないでしょう。しかし、「笠盛」には、平板な刺繍のプログラミングしかしたことがない社員しかいません。彼らが高層ビルの建築に挑んだのです。
無謀、なのでしょう。ただ、超高層ビルなら素人が手がけて設計が狂っていると、建築途上や完成後にビルが崩壊して大惨事になる恐れがありますが、私たちが手がけているのは刺繍です。計算が違い、設計が間違っていても、せいぜい「珠」ができないだけで人身被害は出ません。それだけが救いです。
「住宅しか設計したことがなくても、失敗を繰り返しているうちに50階の高層ビルも設計出来るまでに技術を高めることができるんじゃないか?」
そうとでも考えなければ、挑めるテーマではありませんでした。
私たちの開発は次のように進みました。
まず片倉君が
「これだったら珠ができるのではないか」
という基本設計図を描きます。次の作業は社内のプログラマーの岡田富士子さんのプログラミングです。

1948年3月18日生まれ
好き:仕事、ワイン、落語、漫才、みんなの笑顔、家族、妻(多分)
嫌い:仕事、ホルモンのシロ=噛みきれないので、妻(多分)
得意:笑顔、プログラミング、早食い、経営(多分)、妻(多分)
苦手:指相撲、妻(多分)
似ている芸能人:藤山寬美、キムタク(多分)

















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