その26 ファクトリー・ブランド

 インテリア・ライフスタイル展は毎年開かれます。2年続きで「000」クッションの不振という厳しい現実を突きつけられた私たちは、新しいブランド戦略を立てることを迫られました。来年のライフスタイル展にはどんな「000」ブランドの商品をひっさげて臨んだらいいのだろう?

 このままで放置するわけにはいきません。明日の「笠盛」がもっと素晴らしい企業になるためには、私たちのブランド戦略を確立しなければなりません。

 私たちはこれまでの取り組みの何が悪かったのかを知って自分たちの力で道を切り拓くしかないと覚悟を固め、社内で徹底的に議論をしました。

 何度も繰り返した議論の中から、おぼろげながら問題点が見えてきました。

 クッションに関しては、先に自分たちで分析した結論が全員の共通認識になりました。時代の最先端を行くような高級クッションは、「笠盛」が手がけるべき商品ではない。

 それに、クッションは社内だけでは造ることができませんでした。全体のデザイン、表地の刺繍やレーザーカットは「笠盛」の得意分野ですから社内で手がけましたが、クッション造りに欠かせない縫製、中にクッション材を詰める作業は社内の作業工程にはなく、できる人がいません。どうしても社外の力に頼らざるを得なかったのです。

「これでは、本当に『笠盛』の全力を挙げて創り出したものとはいえないのではないか?」

 それもクッションを「000」ブランドから外す理由になりました。

 いや、それだけではありません。

「それに、『000』はいわゆるファクトリー・ブランドだけど、アクセサリーとクッションって、使われる場面を考えると全く違う世界のものだよね。それを同じブランドでくくると、何となくごちゃ混ぜ感がある。そのために『000』のイメージがぼやけてしまうマイナスがあったと思う。クッションを『000』から外すのは、むしろプラスに働くのではないか」

 いつしか、みんなの意見が、前向きに一致し始めました。

「『000』ブランドは刺繍のアクセサリーに絞ろう」

 というのです。

「すべて『笠盛』の社内でできて、『笠盛』の強みを最大に活かすもの」

 に絞ることにしたのです。

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笠原 康利
1948年3月18日生まれ 好き:仕事、ワイン、落語、漫才、みんなの笑顔、家族、妻(多分) 嫌い:仕事、ホルモンのシロ=噛みきれないので、妻(多分) 得意:笑顔、プログラミング、早食い、経営(多分)、妻(多分) 苦手:指相撲、妻(多分) 似ている芸能人:藤山寬美、キムタク(多分)