笠盛人の日第13回—改善・PDCA、の2

次はグループワークです。

1年ほど前にPDCAを学んだときは、グループワークでペーパータワーを作ってもらいました。あの時はより高いタワーをどうやったら作ることができるかをP・D・C・Aを活用しながら各グループで競ってもらいました。
今回はもう少し仕事寄りにしようと案を練りました。その結果採用したのが、折紙で十字手裏剣を作ってもらうことです。今回競うのは、質と量。商品でいえば、お客様に満足していただける質を備えた商品を、一定時間の中で何個作ることができるか、です。刺繍の世界で「笠盛」が日々取り組んでいることでもあります。
時間は20分。そのうち10分間を作戦タイムとし、あとの10分で十字手裏剣を作ってもらいました。この間に、良品を何個作ることができるか。笠原会長と櫻井社長に審判をお願いし、不良品を見つけてもらいました。折紙の角がきちんと折れているか、誤差が2㎜以内に収まっているか、が良否を分けるポイントです。

さて、突然

「十字手裏剣を折れ」

といわれても

「えっ、どうやって折るんだっけ?」

と戸惑う人が多かったと思います。狙い通りの反応で、実はみんなに戸惑ってもらうために十字手裏剣を選んだのです。

折るのが鶴なら戸惑う人は少なかったはずです。折り鶴でも量と質を測ることはできます。しかし、折り鶴はほとんどの人が折り方を知っています。折る度にそれぞれ無意識のうちに工夫を重ねているはずで、この勉強会の場で改めてPDCAで考える必要は少ないと思われます。
しかし、十字手裏剣を折る機会は余りありません。折ったことがある人も、

「そういえば、子どもの時に折った記憶があるなあ。だけど、どうやって折るんだっけ?」

というところではないでしょうか。これはみんなで知恵を出し合い、PDCAサイクルを回して合格点が取れる十字手裏剣をよりたくさん作るにはどうするか、を考えなくてはなりません。

それが私たちの狙いでした。

まず、全員にYouTubeにアップされている折紙作成の動画を見てもらいました。4分少々の動画です。皆さんもご覧になって下さい。

このグループワークは個人の器用さを競うものではありません。競うのはあくまでチームの成績です。全員の知恵と力を合わせて合格点の十字手裏剣をいかにたくさん生産するかが勝負なのです。

このゲームを2回繰り返してもらいました。各チームに勝敗を競ってもらうのが目的ではありませんので、記録はとっていません。従ってゲームの進み具合は記憶に頼るしかないのですが、まず、1回目では全体の不良品率は10数%でした。製作個数は、おおむね10数個といったところでした。

驚いたのは、1回目に早くも「流れ作業」を採り入れたグループがあったことです。十字手裏剣作りは、まず折紙を2等分するところから始まります。そして2つに分かれた折紙のそれぞれを折り、2つを組合せ、組合せがほどけないように一方の先端を他方の隙間に差し込みます。この一連の作業を分解し、工程ごとに担当者を決めたのです。これは画期的な工夫でした。

2回目はほとんどのグループがこの分業システムを採り入れました。採り入れるだけではなく、メンバーの得意不得意に合わせて最適な人員配置をするグループがありました。また、各工程の難易度を判断して工程ごとに張り付ける人数を変えたり、連続する工程をまとめて1工程にしたり、2回目はそれこそ創意工夫がたくさん出て来ました。そのためでしょうか、2回目は不良品率が少し下がり、各グループの生産数も、1回目に比べれば増えました。私の狙い通りの結果をみんなが出してくれました。

鉄は熱いうちに打て、といいます。いまみんなはPDCAを上手に使い、様々な工夫で生産性の向上を実現しました。だから、ここでもう一押ししようと考えたのです。YouTubeの動画、「鬼速PDCAを解説/成長スピードで他人を抜き去れ!」を見てもらい、もう一度

「あなたはPDCAができているか?」

をそれぞれCheckしてもらったのです。

簡単に説明すれば、PDCAで最も大切なのはPlanなのだそうです。重要なのは、何処に行きたいか、ゴールを決めることで、しかもそのゴールを数字で表すのだそうです。そうすれば現状との差が数字でわかるようになり、何をすればその差を埋めることができるのかの課題設定に進むことができる。そしてDoに繋げる、と説明されています。

しかし、講師はいとも簡単そうに説明していますが、よくよく考えるとかなり難しいことばかりで、さて、私もできているのかどうか……。

ただ、やらねばならないことがわかり、自分ができていないことが認識できれば、あとはその隙間を埋める努力だけ。私もよりいっそう勉強しなければ、と思い知らされた勉強会でした。

ABOUT US
笠原 康利
1948年3月18日生まれ 好き:仕事、ワイン、落語、漫才、みんなの笑顔、家族、妻(多分) 嫌い:仕事、ホルモンのシロ=噛みきれないので、妻(多分) 得意:笑顔、プログラミング、早食い、経営(多分)、妻(多分) 苦手:指相撲、妻(多分) 似ている芸能人:藤山寬美、キムタク(多分)