当時、機屋に返品はつきものでした。それも、
「売れ残ったから引き取れ」
ではありません。当時は完全買い取り制で、売れ残ったからといって機屋が引き取るいわれはありません。買継が持ってきた返品の帯には
「これは不良品だ。売れない」
という理由がついていました。
本当に不良品なら機屋の責任です。何があっても引き取らねばなりません。ところが勝によると、そういって戻ってきた帯を見ると、例えば茶をこぼしたような染みがあるのです。それが不良品だという理由です。
しかし、考えてください。「笠盛織物」は帯の機屋です。精魂込めて織り上げる帯に、茶をこぼすような不始末は絶対にしません。万が一、不幸な事故で茶をこぼしたら、染み付きの帯を「笠盛織物」の名で出すのは、屋号を汚すことです。不良品として社内で処分して、屋号を、機屋としての信用を守るのは当たり前ではありませんか。
ある買継から、そこに売った以上の返品が戻ってくることもあったといいます。見込みで大量に帯を仕入れたものの、見込み通りには売れなかった。それを何回も繰り返すものだから買継に在庫が積み上がり、それをまとめて
「引き取れ」
といってくるわけです。こちらは、その期に売った以上の帯が戻ってくるのですから、結果として赤字になります。みなが汗を流して注文を受けた本数の帯を仕上げて出荷したら、突然赤字になる。これでは経営計画の立てようがありません。そんなこんなで、勝は買継は信用できないと思い切ったのでした。

1948年3月18日生まれ
好き:仕事、ワイン、落語、漫才、みんなの笑顔、家族、妻(多分)
嫌い:仕事、ホルモンのシロ=噛みきれないので、妻(多分)
得意:笑顔、プログラミング、早食い、経営(多分)、妻(多分)
苦手:指相撲、妻(多分)
似ている芸能人:藤山寬美、キムタク(多分)















