200年企業へ —笠盛人の日第26回 売上&利益、の2

さて、ここまで理解していただいたら、次は「損益分岐点」を学びましょう。文字通り、「損(損失)」と「益(利益)」が分かれるポイントです。

下のグラフを見て下さい。

損益分岐点グラフ

 

会社を維持していて、売上があろうとなかろうと必要な費用を「固定費」といいます。人件費・水道光熱費・家賃・リース料・減価償却費などです。グラフでは25にしています。
一方、売上が増えるに従って増える費用もあります。刺繍糸などの資材費、外注費、送料などで、これを「変動費」といいます。

上のグラフでは固定費が25で、売上増に伴って費用は55まで増えていますから、一番右端では変動費が30になったことを示しています。
そして、どこかに売上=費用になるところがあります。ここが「損益分岐点」です。

グラフで見るように、損益分岐点とは、費用の支払いは出来るが、利益は全く生み出せていない状態、会社を維持できるギリギリのラインです。
そして、グラフでいえば「損益分岐点」の左側で緑と青の線に挟まれた部分が「損失」で、ここに留まれば会社は赤字になります。損益分岐点を超えて売上が伸びれば、2つの線の間が利益になりますから、会社は黒字になります。

今度はグラフの中身をもう少し詳しく見ていきましょう。

まず損益分岐点より左の部分です。ここは

赤字

このようになっています。粗利益では販売管理費を賄うことが出来ず、赤字になってしまったのです。

損益分岐点では

トントン

このように、粗利益と販売管理費が全く同額で、利益はゼロです。

損益分岐点より右に行くと、

黒字

こうなって利益が出ました。

さて、このグラフ分析から何が分かるでしょうか? そうです。「損益分岐点」を下げる、グラフでいえばもっと左側に持って行けばより多くの利益が生み出せるということです。

では、「損益分岐点」を下げるにはどうすればいいのでしょう? もうおわかりですね。

・固定費を下げる。グラフでいえば25になっている固定費を20まで下げれば損益分岐点はずっと左に来ます。
・変動費を下げる。私たちの仕事でいえば、無駄を徹底的になくせば「損益分岐点」は下がります。
・売上を増やす。グラフで見ると右に行けば行くほど利益が増えるのは一目瞭然です。

ここまでご理解いただいて、「人時生産性」というあまり聞かない言葉に進みましょう。
簡単にいえば

従業員1人が1時間でいくらの粗利益を生みだしているか

ということです。

粗利益÷従業員の総労働時間

で計算します。これを知ることで、いまの労働量でどれだけの利益を生み出す力があるか、を判断することが可能になります。

まず、この表を見て下さい。

部署A 部署B
粗利益 100万円 300万円
総労働時間 200時間 800時間
人時生産性 5000円 3750円

一見すると、部署Bの方が3倍の利益を上げて会社に貢献しているように見えます。ところが人時生産性を計算してみると、部署Bは膨大な時間をかけていることが分かります。恐らく、この部署で働いている従業員数は部署Aより多いはずで、おまけに時間外労働も頻繁にあるのでしょう。一方、部署Bに比べると部署Aは、4分の1の時間で3分の1の粗利益を出しています。効率のいい仕事をしているのです。それが人時生産性の数値に現れています。

そこで、中小企業庁の人時生産性についての分析結果を見てみます。

業種 人時生産性の平均(円)
製造業 2,837
小売業 2,444
宿泊業 2,805
飲食店 1,902

業種間でこのような差があります。
「笠盛」は製造業です。では、「笠盛」の人時生産性はどれだけかというと

72期第1四半期(2021年9月〜11月):製造業平均−342.7円

73期第1四半期(2022年9月〜11月):製造業平均−60.3円

1年間でずいぶん改善してはいますが、まだまだ製造業平均には追い付いていません。私たちは一刻も早く平均値に追い付き追い越して、稼ぐ力のある製造業になりたいと思います。

では、どうすれば人時生産性を上げることが出来るのでしょうか? 仕事の中に潜んでいる無駄を徹底的に無くすことです。

・手待ちの無駄をなくす⇒事前準備をする
・付加価値を高める⇒高単価でとおる商品
・多能工化する⇒スキルアップする
・残業をなくす⇒同じ仕事を、より短時間で終わらせる

いかがでしょうか。明日といわず今日からこの課題に取り組み、高収益企業を目指そうではありませんか。それが私たちのESを向上させる道なのです。

ABOUT US
笠原 康利
1948年3月18日生まれ 好き:仕事、ワイン、落語、漫才、みんなの笑顔、家族、妻(多分) 嫌い:仕事、ホルモンのシロ=噛みきれないので、妻(多分) 得意:笑顔、プログラミング、早食い、経営(多分)、妻(多分) 苦手:指相撲、妻(多分) 似ている芸能人:藤山寬美、キムタク(多分)