その10 ビップ・プロダクツ

 いよいよ、初めて出展した「モーダモン」の初日です。いま思い返しても、その幕開けは

「凄かった!」

 としか言いようがありません。

「これまで、自分たちのことを過小評価していたのではないか? 自分で自分を知らなかったのではないか? この勢いなら、『笠盛』に革命が起きるぞ!」

 と体中の血が沸騰するような気分を味わいました。

 その1。

 初日です。やはり緊張していたのでしょうか。ホテルで朝早く目を醒ました私たちは、午前8時前にはブースにたどり着き、いまや遅しと戦闘開始を待っていました。開場は午前9時です。その時刻が迫ったころ、間もなく始まるはずの商談への期待を膨らませながら待機している私たちのところに、主催団体の方が突然おみえになりました。通訳と何か話しています。一区切りしたところで通訳に聞くと、出展審査用に事前に送っておいた私たちの商品サンプルが、主催者が選ぶ今回の「ビップ・プロダクツ」に選ばれたといいます。

「ビップ・プロダクツ? それ、何?」

 通訳に聞いてもらうと、何でも、全世界から集まった応募サンプルの中から主催者が選ぶ、今回の「目玉商品」らしいのです。会場内には特設コーナー設けられていて、そこに「ビップ・プロダクツ」に選ばれたサンプルを展示してある、といっています。そのコーナーに「笠盛」の「KASAMORI LACE」も並んでいるのだと。

 私たちは初参加です。事前の知識もほぼゼロでした。そんな賞があることなんて初耳です。ましてや、その特設コーナーでの展示は参加企業の全てが

「我が社の製品も、いつかはあのコーナーに飾ってもらえるようにしたい」

 と憧れているなどということなんか知るはずがありません。そんな大変なコーナーに右も左も分からない新参者の「笠盛」の製品が並んでいる! 私たちは奇跡を起こしてしまったのでしょうか?

 その場で立派な楯をいただきました。「笠盛」のブースの前で、主催者と一緒に写真を撮ってもらいました。何だか狐にだまされたような気分で、

「朝から夢でも見ているのではないか」

 と自分の頬をつねってみたくなりました。

 いただいた楯をブースの一番目立つところに飾ったのはいうまでもありません。私たちの製品が高く評価されたこと、「笠盛」には世界トップの水準にある刺繍の技術、デザイン力があることを、このブースに来てくれる人たちにあまねく知ってもらわねばなりません。 この上なく気分がいい1日の始まりでした。

写真はビップ・プロダクツを受賞した製品です。

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ABOUT US
笠原 康利
1948年3月18日生まれ 好き:仕事、ワイン、落語、漫才、みんなの笑顔、家族、妻(多分) 嫌い:仕事、ホルモンのシロ=噛みきれないので、妻(多分) 得意:笑顔、プログラミング、早食い、経営(多分)、妻(多分) 苦手:指相撲、妻(多分) 似ている芸能人:藤山寬美、キムタク(多分)