笠盛」の履歴書 — その17 不運な経営者

 献上帯で桐生の帯出荷の3割を占めて隆盛を極める事業家の実質的な長男。子守に身の回りの世話をしてもらい、時には母に負ぶわれて育つ子ども。

 皆様の目には、私は銀のスプーンをくわえて誕生した、生まれながらの幸運の持ち主と写ってしまうのかも知れません。しかし、私は一度もそう思ったことがありません。いや、自分の目が曇っているのではないと思います。自分のこれまでの約70年を振り返ると、

「どうやら、俺はとんでもない不運をしょって生まれてきたのではないか」

 と思えて仕方がないのです。

 幸い、いまの笠盛は「000」がご好評をいただいていることもあり、事業は順調に推移しています。

「それなのに、不運な男とはどういう意味だ?」

 と首をかしげられる方もいらっしゃるでしょう。それは、これから書くことでご理解いただけると思います。

 その前に、「幸運」、「不運」について、少し私の考えを述べさせて下さい。

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笠原 康利
1948年3月18日生まれ 好き:仕事、ワイン、落語、漫才、みんなの笑顔、家族、妻(多分) 嫌い:仕事、ホルモンのシロ=噛みきれないので、妻(多分) 得意:笑顔、プログラミング、早食い、経営(多分)、妻(多分) 苦手:指相撲、妻(多分) 似ている芸能人:藤山寬美、キムタク(多分)