「笠盛」の履歴書 — その37 東京本気塾

「第2期関東・臥龍本気塾」は同じ年の12月に開かれる予定でした。ということは、事業計画の1番目、年内に東京で個展を開く、という目標は「第2期の初日」が開かれるまでに実行しておかねばなりません。

 当時、刺繍屋が1軒だけで個展を開くなどということは聞いたことがありませんでした。しかし、これは私の事業計画なのです。臥龍先生も認めてくれたのです。

「片倉君、秋に東京で『笠盛』の個展を開く。何か新しい刺繍作品を作ってちょうだい」

 画家にしても写真家にしても、ある程度作品が貯まったから

「そろそろ個展を開こうか」

 というのが普通でしょう。しかし、私に普通は通じません。まず個展を開くことを決め、個展に出品する作品はその後でつくる。まあ、その後の「OOO」の展開でも似たようなことを繰り返したのは、ここまでお読みいただいた方ならお分かりでしょう。どうやらこれは、「笠盛」流の仕事の進め方らしい、とはあとで気がついたことです。

 入社からそれほど間がなかったにもかかわらず、片倉君はみごとに私の期待に応えて刺繍見本をつくってくれました。個展の会場は東京・渋谷でしたが、アパレルのバイヤーやデザイナーたちが結構来てくれました。ひょっとしたら

「刺繍屋が個展を開くんだってよ!」

 という物珍しさが手伝ったのかも知れません。しかし物珍しさであれ何であれ、バイヤー、デザイナーの注目を惹きつけるのはビジネスの入り口です。主観的には、第一回個展は大成功でした。

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笠原 康利
1948年3月18日生まれ 好き:仕事、ワイン、落語、漫才、みんなの笑顔、家族、妻(多分) 嫌い:仕事、ホルモンのシロ=噛みきれないので、妻(多分) 得意:笑顔、プログラミング、早食い、経営(多分)、妻(多分) 苦手:指相撲、妻(多分) 似ている芸能人:藤山寬美、キムタク(多分)