「笠盛」の履歴書 — その37 東京本気塾

 その年の年末には「第二期関東・臥龍本気塾」が開かれ、当然参加しました。そして、計画の二番目だった東京事務所も、他の企業と同居する形で実行しました(いまはありませんが)。なにしろ、私は「本気」なのです。2009年に設定した海外展開も、計画より2年早く、2007年の「モーダモン」に始まるのですから、これは予定の2年前倒しです。こう見てくると、私は「東京本気塾」の優等生でした。

 ますます臥龍先生の教えに傾倒するようになった私は、2010年から個別指導を受け始めます。「笠盛」の経営データをすべてお示しして、先生の教えを受けるのです。

「会社とは、あなた1人で経営できるものではないのですよ」

 ある日、先生の口から出た言葉です。しかし、私は社長だ。社長は会社の全権を持つ。だから従業員、その家族の暮らしに責任があるし、会社の帰趨についての全責任も負っているのではないか。

 ホンの少しばかり、持ち前の反抗心がざわめいたような記憶もあります。しかし、臥龍先生のお話を聞くうちに、そんな反抗心はどこかに行ってしまいました。

 確かに社長は全責任を負っているかも知れないが、社長1人で出来ることは微々たることです。社員が立派な製品を作ってくれなければいけませんし、それを持って営業に回る社員の働きも大切です。協力工場があなたの会社を信じていい仕事をしてくれなければ、仕入れ先がいい材料を時間通り届けてくれなければ、会社は回りません。受注先だって社長の顔を見て仕事をくれるのではありません。いい製品が、納期をきちっと守って納品されるから「笠盛」に仕事を出してくれるし、それが積み重なって「笠盛」のファンになり、単なる取引先以上の信頼を「笠盛」に持ってくれるのです。

 あなたは、そのすべてを1人で出来ますか?

 いわれてみれば全くその通りで、目から鱗が落ちる思いがしました。そうか、俺は全権を持ち、全責任を負っているつもりで肩に力が入りすぎていたか。そんな必要はなかったんだなあ。 その頃から私の経営が変わり始めたのだと思います。会社を1人で背負うことを止め、みんなに少しずつ背負ってもらおうと思い決めたのです。

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笠原 康利
1948年3月18日生まれ 好き:仕事、ワイン、落語、漫才、みんなの笑顔、家族、妻(多分) 嫌い:仕事、ホルモンのシロ=噛みきれないので、妻(多分) 得意:笑顔、プログラミング、早食い、経営(多分)、妻(多分) 苦手:指相撲、妻(多分) 似ている芸能人:藤山寬美、キムタク(多分)