イタバシニットの工場は、ジャカルタ市内から30分ほど車で走ったブカシという町に造成された工業団地にありました。イタバシニットの担当者と一緒に、刺繍を頼んでいるという現地の工場にも足を伸ばしました。中国系の人が経営する工場でしたが、中に足を踏み入れてみると作業場は暗く、工場内のあちこちに雑然と物が積み上げられ、床にはいろいろなものが落ちていています。とにかく、汚い。20代、30代と思われる現地の女性たちがミシンに向かって働いており、工場は24時間稼働なのだそうです。2交代制か3交代制で動かしているのでしょう。
「これじゃあ、ろくな刺繍が出来るはずがない」
と思いながら仕上がり品を見ると、案の定、表に出てはいけない糸が表に顔を出して色が混じり合っているし、刺繍の表面は波をうっています。作業を眺めていると、ミシンの針がよく折れます。コンピューターで動くミシンなので、プログラムがうまくできていないのです。イタバシニットが「笠盛」の刺繍技術を欲しがるのもよく分かります。
「笠盛」の技術を持っていけばきちんとした刺繍が出来るでしょう。イタバシニットの製品は好調に売れていましたから、「笠盛」がインドネシアに出てもうまくいくかも知れません。
それに、イタバシニットには、毎年数1000万円の注文をいただいています。むげにお断りするわけにはいきません。
それでも、私は躊躇しました。危険な臭いがしたのです。

1948年3月18日生まれ
好き:仕事、ワイン、落語、漫才、みんなの笑顔、家族、妻(多分)
嫌い:仕事、ホルモンのシロ=噛みきれないので、妻(多分)
得意:笑顔、プログラミング、早食い、経営(多分)、妻(多分)
苦手:指相撲、妻(多分)
似ている芸能人:藤山寬美、キムタク(多分)
















