「笠盛」の履歴書 — その12 リバーシブル

 織物に、紋織りという技法があります。地とは違った色の糸や、同じ色でも太さや組成が違う糸を組み合わせ、織り柄を作るのです。

 地とは違う糸を組み合わせて織り柄を作るのですから、織り上がると、柄を入れるために使った糸の余りが裏から垂れ下がります。裏地ですから何が出てこようと外からは見えません。だからそのままで構わないともいえるのですが、商品として出荷するのですから、垂れ下がった糸ははさみで切り取って綺麗にします。

 勝はこの手間をなくそうと考えました。うまく行けば面倒な作業がなくなり、生産性も上がります。織り方にあれこれ工夫を重ねて裏地に糸が出ないような織り方を編み出したのです。いまの言葉でいえば、コストダウンにつながる技術革新を成し遂げたわけです。

 この成功に味を占めたのか、勝はさらに開発を続けました。次に手がけたのは、裏に糸が垂れ下がらないだけでなく、裏にも織り柄が入る帯を生み出すことでした。しかも、この織り方をすると、表と裏で柄が違った帯ができるのです。いわば、リバーシブルの帯です。その日の気分によって表も裏も使える、1本で2本分の働きをする帯でした。

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笠原 康利
1948年3月18日生まれ 好き:仕事、ワイン、落語、漫才、みんなの笑顔、家族、妻(多分) 嫌い:仕事、ホルモンのシロ=噛みきれないので、妻(多分) 得意:笑顔、プログラミング、早食い、経営(多分)、妻(多分) 苦手:指相撲、妻(多分) 似ている芸能人:藤山寬美、キムタク(多分)